こんにちは、穂積です。 今回は、ゲームを作ってみたもののうまくいかなかった話を記事にしました。多くの方にとって興味深い、失敗を通じた振り返りの話でもありますので、是非とも読んでいただけると嬉しいです。
そうだ!ゲームを作ろう!
私は小さい頃からゲームが好きで、温泉宿に行っても温泉に入らずゲームボーイに夢中になっているような子どもでした。大人になってからも漠然と「ゲームを作ってみたいな〜」と思っていました。
そんな背景を持つ自分が、育休明けのちょっと時間ができた時に思ってしまったのです。
「そうだ!ゲームを作ろう!」と。
しくみ製作所はフルリモートの会社であり、半年に一度オフ会を開催しています。そのオフ会において「ちょっと時間があるのでゲームを作ってみます!」と宣言しました。それから2ヶ月に渡って、夜な夜なゲームを作るマラソンが始まりました。
チーム作り × ローグライクを実現
以前より、こういうゲームを作ってみたいという構想がありました。それは、チーム作りとローグライクを掛け合わせたゲームです。
私はパワプロ君の栄冠ナインという、高校野球の監督になり甲子園優勝を目指すゲームがとても好きでした。このゲームは、有望な中学生を見つけ出し、それぞれの個性を丁寧に伸ばし、互いの特徴が響き合うようなチームをつくり上げていく構造が魅力です。そのプロセスこそが、自分が面白いと感じていた部分です。
しかし、この手のシミュレーションゲームには弱点もあります。それはプレイ時間が長くなりがちということです。そこで、この大枠を土台とし、ゲーム界隈で流行っていたローグライクのシステムを組み合わせることで、テンポよく進められるチーム作りゲームができるのでは?と考えました。
構想を一気にプロト化へ
まずは、仕事でやっているように目的・課題・理想像・ターゲットなどをまとめた企画書を作成しました。プロジェクト名は「異世界ナイン」とし、異世界転生したキャラを集め、3×3のマスにキャラを配置してステージをクリアしていくようなローグライクものに仕上げました。
しかし、企画書をまとめただけでは本当に面白いゲームなのか判断がつきません。そこで、コアな機能が動くプロトを作ってしまおうと考えました。タイミングよく Claude Code などが登場したこともあり、自分一人でキャラのピック、育成、対戦シミュレーションができる仕組みを構築して遊んでみました。
1ヶ月後、プロトが完成し、自分で遊んでみるとそれなりに面白い。この時は「いけるかもしれない!」と思っていました。
訴求点がマニアックで弱いという現実
次にこのゲームをどうやって売り込むかを考え始めたのですが、ここで行き詰まってしまいました……。自分が掲げた「チーム作り × ローグライク」という標語で注目を集めるのはかなり難しい現実がありました。
Steam にはローグライクゲームが溢れており、このコンセプトだけで目立つのは無理がある、世界観を定番の異世界転生にしてしまったこともマイナスに働いたと思います。
自分自身でもそんな悩みを抱えている状態で、界隈で人気のあるクリエイターさんにも見てもらったのですが、同じような反応でした。「異世界ナインなら、異世界で野球やっちゃった方が目を引くかもね」と言われて、確かにな……と思ってしまいました。
失敗を資産に変えていこう
振り返ってみると、今回のケースはまさにプロダクト開発でありがちな落とし穴に、見事に足を取られてしまったのだと痛感しています。企画段階で「マーケットイン」の視点が十分に持てておらず、ユーザーが本当に求めている価値や解決したい課題を丁寧に検証しないまま進めてしまいました。その結果、作り手である自分の中だけで完結した“自己満足のプロダクト”になってしまったなと反省しています。
Amazon では企画段階で“先にプレスリリースを書く”という手法が推奨されていますが、今回の経験を通して、その重要性を強く感じました。プレスリリースを書くことで、誰に、どんな価値を届けるのかが明確になり、企画の妥当性を客観的に検証できます。今回の失敗は悔しさもありますが、そのぶん得られた学びも大きく、次に活かせる貴重な体験だったと感じています。
さいごに
というわけで、ゲームを作ってみたものの、結果としてはあまりうまくいかなかったという話を書いてみました。思った以上に難しい部分が多く、試行錯誤の連続ではありましたが、それでも実際に手を動かして形にしてみる時間はとても楽しかったです。動かない原因を探したり、やりたい表現をどう実装しようか考えたりする過程も含めて、「作るって面白いな」と改めて感じることができました。
今回は一旦一区切りですが、また好きなことに挑戦していきたいと思います。やりたいことにとことん向き合ってみると、自分の世界が少し広がる気がしますし、意外な発見があったりもします。みなさんももし時間に余裕ができたら、ぜひ後回しにしていた「やってみたいこと」に手を伸ばしてみてください。ではまた。