「ゲームをより楽しむためのコントローラー自作」あなたのゲームライフをもっと充実させてみませんか

Date
June 30, 2023

はじめに

はじめましての方ははじめまして、そうでない方はこんにちは。しくみ製作所でWeb開発をやっているokayuです。普段は弊社のサービス reBako.io の開発に携わっています。

前回『快適な仕事環境のための自作キーボード入門』と題して自作キーボードのアレコレを語りましたが、そこそこ好評だったようで嬉しく思います。今も引き続き使っているこのキーボードも喜んでいることでしょう。

さて今回は少し仕事の話から離れまして、ゲーム(TVゲーム、ビデオゲーム)のコントローラーを自作する話をしたいと思います。私はプログラマーでゲーマーで技術オタクなので、やや話が長くなるかもしれませんが、これも生き物のサガなので許してほしいです。

しくみ製作所はITの会社ということもあってか、意外とゲーマーが多いです。読者の皆様もきっとそうだろうと信じて、少々マニアックな話をします。

ゲームコントローラーの種類

ゲーム用のコントローラーと聞いて、みなさんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか。Nintendo Switch の Joy-Con ですか? それとも PlayStation 5 の DualSense ですか? もしかするとファミコンやスーパーファミコンのコントローラーかもしれません。

上記に挙げたコントローラーは、いずれも「ゲームパッド」と呼ばれるたぐいのコントローラーになります。手に持って(あるいは握って)操作するタイプのコントローラーです。このようなコントローラーがもっとも一般的な、よく使われるタイプのコントローラーではないかと思います。

しかしゲームのコントローラーはゲームパッドだけではありません。たとえば、Wii のリモコンなどは特徴の強いコントローラーの一つです。ほかにも片手用コントローラー、ハンドルコントローラーなど、ゲームをプレイするためのコントローラーは多種多様です。

さて、そんなゲーム用コントローラーを自作する人間がいることをご存知でしょうか? かく言う私も、コントローラー自作勢の一人です。

私が自作しているのは、いわゆる「アーケードコントローラー」略して「アケコン」と呼ばれるような、大型のコントローラーです。おもにゲームセンターの環境を自宅で再現するためのコントローラーです。音楽ゲームや格闘ゲーム、シューティングゲームをプレイする人は馴染みがあるのではないでしょうか。

私の持っている市販のアケコンと、自作したアケコンの
私の持っている市販のアケコンと、自作したアケコンの 一部。たぶん探せばまだまだある。なんでこんな大型で場所を取るコントローラーをいっぱい持っているんですかね……? みなさんは家族に怒られないようにしましょう。

アケコンは、大型ゆえに作りやすかったり、ボタンやスイッチなどの部品が単品で販売されているなどの理由で、自作するのにもってこいのコントローラーです。実際、SNSでは数多くの人が自作アケコンを投稿しています。

なぜ自作するのか?

なぜ、このようなアーケードコントローラーを自作するのでしょうか? 理由は人それぞれではありますが、主な理由は以下の4つです。

1. 市販品より安くなるから

よく利用されているタイプのアケコンには、メーカーから市販されているものがあります。たとえば、格闘ゲームやシューティングゲームで使用される「アーケードスティック」は、HORI や Qanba、Victrix などから多くのモデルが販売されています。

しかしこれらの市販品は安いものでも2万円前後で販売されており、お世辞にも安いとは言えません。高級モデルだとなんと5万円を超えるものまで存在します。

必要な部品を購入して自作すれば、工夫次第で市販品より安く作ることが可能です。その分見た目や使い勝手で劣ることもありますが、必要十分な機能を備えたコントローラーにはなります。

これはHORIから発売されている、ファイティングスティックα です。お値段は約24,000円。ちなみにこのコントローラーはPS4とPS5、Windowsに対応しています。Nintendo Switchには未対応です。ということはSwitch用のアケコンは別途購入する必要があるということです。お金と保管場所が……💸
これはHORIから発売されている、ファイティングスティックα です。お値段は約24,000円。ちなみにこのコントローラーはPS4とPS5、Windowsに対応しています。Nintendo Switchには未対応です。ということはSwitch用のアケコンは別途購入する必要があるということです。お金と保管場所が……💸

2. 市販品が入手困難、または存在しないから

アケコンは利用者が多いわけではないので、生産数が限られている商品です。時期によっては品切れしていて入手が困難なことがあります。特に人気の新作ゲームが発売された後などは、それに合わせて皆がこぞって購入するため品薄になりがちです。そのようなときも、自作用の部品であれば入手が可能なことがあります。

また、ゲームによっては市販のアケコンが生産終了していたり、そもそもどこのメーカーからも発売されておらず、世に存在していない場合もあります。そのような場合はもう自作するしか方法がありません。ゲームセンターのプレイフィールを再現するために努力を惜しまないゲーマーは一定数いるのです。

3. 市販品にない機能やデザインにしたいから

最近の市販のアケコンは品質も良く、ゲームセンターで使われているものと同じ部品が使われていたり、最初から数多くの機能が実装されています。そのため、ほとんどの場合は不満を感じることはないでしょう。ですが「市販品の機能に満足できない」「もっと機能を追加したい」「特殊な機能が欲しい」というような人たちが、自作するという方法をとることがあります。

また、機能的には市販品で満足だったとしても「見た目をもっとよくしたい!」という人が、デザインにこだわって自作しているのを時折見ます。いつか自分もカッチョいいアケコンを作ってみたいですね。

市販のアケコン、こういう黒+赤などのシンプルなデザインのものがとても多いです。ほかのカラーが良いとか、かっこいい or かわいいイラストが描いているものが欲しいなら、改造したり自作するしかありません。
市販のアケコン、こういう黒+赤などのシンプルなデザインのものがとても多いです。ほかのカラーが良いとか、かっこいい or かわいいイラストが描いているものが欲しいなら、改造したり自作するしかありません。

4. 単に作るのが楽しい

私のことです。結局のところ、単純にこういう工作が好きなんですよね。だから定期的にアケコンが増えるんですよね。収納どうしよう……こまったなぁ……

市販品の改造というのもアリ

比較的自作が簡単とはいえ、一から作るのはちょっとハードルが高い……という方は、市販品を改造するのもおすすめです。改造といっても、ボタンを増設したり、デザインに少し手を加える程度であれば、意外と簡単に改造できます。

最近では格闘ゲームのプロゲーマーがボタン増設の改造をしているのをよく見ます。インターネット上に情報がたくさんありますので、ぜひやってみてください。

一番簡単なのは、ボタンの色や種類を変更する改造です。自分好みの色、押し心地のボタンにすることで、プレイもよくなりますよ!(たぶんね!)

これはアケコンに使うボタンを大量購入したときの写真。こんなにたくさん買ったのは初めてだったので、専用の仕切りに入って届いたときはびっくりしました。デザインは難しくても、好みのカラーするだけなら簡単ですよ!
これはアケコンに使うボタンを大量購入したときの写真。こんなにたくさん買ったのは初めてだったので、専用の仕切りに入って届いたときはびっくりしました。デザインは難しくても、好みのカラーするだけなら簡単ですよ!

マイアケコンの自慢紹介

さて、実際に私が今使っている自作アケコンを自慢したい紹介したいと思います。あくまでも私が欲しいと思う機能を、私が使いやすいように作ったものですが、みなさんがコントローラーの自作について考えるきっかけになればと思います。

このコントローラーの自慢です。緑が好き。
このコントローラーの自慢です。緑が好き。

見た目は普通の、スティックのついたアーケードコントローラーです。ですが市販のコントローラーよりも、天板にボタンが多く配置されています。黒色のボタンがそれです。私は格闘ゲームをよくプレイするのですが、最近のゲームでは色々な機能をボタンに割り当てることができ、8ボタンだけではボタンが足りないことがあります。足りないなら、増やせばいい! 押しやすそうな位置にボタンを追加して、ライバルの一歩先を行くぞ!

個人的に一番右下のボタン(配置的に右手の小指で押すボタン)を押すのがとても苦手で、それよりは人差し指や中指で押せる位置にボタンがあるといいのにな……と常々思っていました。このコントローラーを作ってからは右手小指の痛みに悩まされることはなくなりました。

また、じつはスティック~ボタン間の距離も、市販のコントローラーよりも1~2cmほど広くなっています。近い方が力を入れやすくて操作しやすいのですが、そのぶん肩が凝るので、広めにすることでゆったりと構えられるようにしています。

奥側を覗き込んだところ。USB Type-B の接続口があります。
奥側を覗き込んだところ。USB Type-B の接続口があります。

PCやゲーム機との接続は、着脱式のUSBケーブルで行います。USB Type-Bというすこし古い規格ではありますが、Type-Cなどと比べると丈夫なので、アケコンの接続としては理にかなってるんじゃないかと思います。着脱式のいいところは、収納時や持ち運ぶときにコンパクトになること。そしてなにより、ケーブルが断線しても交換できることです。断線したから本体ごと買い替え……なんてのは嫌ですもんね。

image

裏面には滑り止めシート。私はアケコン膝置き派なので、滑り止めシートは必須です。接着面なども見えているので、残念ながら見た目はちょっと悪い……要改善!

image

横の面には、対戦中には使わないボタンを配置。対戦中にポーズボタンなどを押すと失格になる大会などもあるので、横にあると誤操作も減っていい感じです。

image

中身です。Brook社の基盤を使っています。ボタンはゲームセンターと同じ三和電子製、スティックは個人的に気に入っているHORI製のハヤブサレバーです。ボタンやスティックは、気分によって別メーカーの物に変えたりします。

image

筐体は3Dプリンター製です。これは3D CADでの画面。アケコンはそんなに複雑な形状ではないので、比較的モデリングしやすく、ハードルは低めだと思います。

楽しく作り、楽しく遊びたい

近年、eスポーツという言葉が広く認知され、ゲームを競技として楽しむ機会が増えました。その中でeスポーツ選手達は自身の勝率を高めるため、使用するデバイスの改善・改良に勤しんでいます。私はeスポーツ選手ではありませんが、使用するデバイスが自分にマッチしたものだと、より楽しくゲームを遊ぶことができると思っています。「ボタンが押しづらいから負けた」というのはちょっとつまらないですし、逆に「追加したボタン、押しやすい! とっさにボタンを押せたから勝てた!」となれば、最高に気持ちがいいです。

今使っているコントローラーに、ほんの少しだけど不満がある方。さぁさぁ今すぐ自作しましょう!

……というのは冗談ですが、その不満を放置しないで、ちょっとだけでいいので「どうにか解消できないかな?」と考えてみてください。もし、少しの工夫で解決できそうなら、ぜひ改造や自作にチャレンジしてみてください。きっと、毎日のゲーム体験がもっと楽しくなりますよ。

それでは、よきゲームライフを!

image

🖋
新着記事