オンラインイベントサービスreBakoの正式リリースから一年をふりかえって

Date
April 14, 2022
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はじめに

大変お久しぶりです、reBakoの事業責任者をしてるnozomuです。 2022年度が始まりました。正式リリースしたのがちょうど昨年の4月末だったので、それからちょうど1年経過したことになります。リリース後、エンハンスのタスクを消化してセールスにチャレンジしてマーケティングを始めて・・・あっという間でした。振り返ってみると、やはり時間は有限であり、何にも変えがたいものだなぁ、と改めて感じます。これを読んでいるみなさんには、年末・年度末などの区切りの良いタイミングで、限られた時間をどうしたらより有意義に過ごせるか、一度考えてみることをお勧めします。そして縁があればしくみにお声掛けください^^採用情報はこちらです。

さて、自分がやるべき仕事は終えたので残りは蛇足になります。それほど有意義でない時間の使い方を許容してくれる物好きの方は、ぜひ一読していただければと。今回は読みやすい感じでライトにしてるので気を抜いてどうぞ。

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で、うまくいったの?

はい、うまくいっていません。 → ブラウザバックしようとしてる人!待って!

まぁ待ってください、世の中のほとんどのSaaSはうまくいってないんですから。確かに成功体験は華やかに見えるでしょうし、誰もが知りたいのは成功する方法であり失敗する方法じゃないことは知っています。ただ、現実的には圧倒的に失敗している数の方が多いことは理解してほしいなって。

で、別にまだ失敗した、なんて言ってませんからね?うまくいっていないのは事実ですが、それはこちらの想定より、という意味です。個人としてもう少しやれるかな、と思ってたんですが、それほど甘くはありませんでした。自分の未熟さが現状のreBakoを表してしまっていると思うので、その辺ご説明しようと思います。

何が悪かったの?

たくさんあるので、3つぐらいに絞って話したいと思います。

1. ビジネスモデル

よりクリティカルなものから順にいきますが、まずは何よりビジネスモデルの検討が不十分でした。これは明確に私の問題だと考えています。リリース前から、非常にありがたいことに数社からクローズドな状態でご利用いただいていた、というのは以前のブログにも記載したと思いますが、その時は、人手をかけてイベントをきっちりバックアップするような運用だったんですよね。したがって、人手分のお金がそれなりにかかり、結果的に高単価・高付加価値のサービスとして提供できていました。

それがSaaSとしてリリースしたタイミングで、それまで手で行っていたことをシステムに任せることになり、相対的に単価の低いサービスになってしまいました。実は、現状でもリリース前に期待していたイベント回数・規模に近い状態ではあるんです。本来ならこれで成功になるはずなのですが、単価が低く売上が足りていない!というような構造に陥ってしまいました。これはプライシングやマーケットのサービスに対する金額感を見切れていなかったことが原因ですね。ここの構造変更はかなり難儀で、現在も試行錯誤中です。裏でサブスク型のモデルなども検討し直しているところなので、検証にご協力いただける企業様は随時募集しています!こちらからどうぞ。

2. セールス

次に課題となるのはセールスですね。当初、マーケットサイズを考えればシンプルにアウトサイドセールスを進めつつ、並行でインサイドセールスをコツコツやっていけば良いかな、と思っていました。しかし、この時点で気がつくべきだったなーと思っていますが、アウトサイドセールスと弊社のケーパがまるであっていませんでした。うちってセールス(営業マン)一人もいないんですよね。というか、社内に非エンジニアが一割しかいない超エンジニア特化型会社なんです。それでも、私含めプリセールスエンジニアみたいな仕事をしている人がいることや、プロダクト(商品)に自信があったので、ある程度はセールスできるだろうと甘く見積もってしまいました。

実際どうなったか?ご想像の通り、チャネルが全然足りなかったですね。もちろん、全く売れなかったわけではないのですが、アウトサイドセールスはここまでほとんど売上に繋がっていません。上半期(しくみだと4〜10月)、セールスはアウトサイドに寄せていたんですが、全部止めました。それより、結局売上に繋がったのはインサイドばかりだったので、こちらの強化の方が優先度高いな、という判断はすでにしており、もうこちらに振り切ってしまおうと。それ以降はインサイドセールス(マーケティングですね)を主戦場に切り替えました。

3. プランニング

もう少し早いプランニング(とリプランニング)を行うべきでした。以前のブログに書いた通り、世の中がコロナ禍に突如入ったため、reBakoの構想自体はあったものの、ビジネスとして成立させるのには多少強引な条件を考える必要があったんですよね(コロナでニーズが飛躍的に生まれる等)。とはいえ、このタイミングで動き出さないともうノーチャンスかなーという気持ちもあったため、その点は動いて良かったと思っています。一方で、やはりというか元々の想定通りコロナがある程度落ち着いてくるのに合わせてニーズも落ち着きました。

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コスト計画は大きくずれているわけではないんですが、今後の回収見込みがだいぶ遠くなっているため、何かしら手を打つ必要があったものの、その判断が遅くなってしまいました。確かに、長期的に見れば回収できる計算ですし、机上の空論的には問題ないように見えるんですが、実際は近未来の良し悪しももう少し重く捉えて手を打ち続ける必要がある、と同僚の指摘を受けて改めて思い直しました。まだまだ試してないことが膨大にあるので、もっとプランニングの速度自体を上げて回転数を伸ばす必要があるのは反省点です。

なるほど、、つまり失敗?

いやいや、待って待って。失敗じゃないって!(今のところは。。)

プラス面もたくさんあるからそちらも見てもらっていいですかね?

ふーん?じゃあ一応

いやー、ここまで読んだらダメダメじゃん、って思うのは当然と言うか、確かに正直ダメなとこが多かったんでその指摘は素直に受け入れます。でも収穫もたくさんあるんですよ。なかなか世に出さないとわからないことが多いな、というのは良い学習でした。

こっちも大きく3つに絞って話そうかな。

1. SaaSの開発・運用知見

非常に当たり前の話で恐縮ですが、シンプルにこの体験価値が高いと感じてます。完全に0からスタートして最低限の収益が上がるSaaSを構築するという経験は簡単には得難いものかな、と。しくみでも、自社サービス自体はこれまでに作ったことが何度かありますが、受託の延長だったり、そもそも企画自体がイマイチですぐにやめたりと、SaaSとしてしっかり運用するところまでこぎつけたのはreBakoが初めてと言って良いんじゃないかな?

なにより、企画の重要性というか、会社としてどんなプロセスで企画に取り組むべきなのか、深く考える機会を得られたのは良かったですね。一般的に企画の初期で考えることと言えば、STPや4P、4C戦略とかその辺りでしょうか。確かにこれらは企画のどこかで考えることになると思います。でも競合性・マーケットサイズのどちらを優先するのか?機能・デザインどちらが大事なのか?何を優先してどんな優先度で物事が決めているのか?といった、大枠では測れないコンセプトみたいなものは、その企業の特性次第なんですよね。例えば、MacintoshとMicrosoftは同じアプローチで物作りをしているでしょうか。明らかに違いますよね。こんな当たり前の話なんですが、教科書的に取り組んでいると案外気がつけなかったりするものです。これらをある程度体系化してまとめるきっかけにつながったのが会社として大きいなと。ちなみにこれらの知見は別途社内で体系化するプロジェクトがあり、どこかでお披露目できると思います。

  • 追記 執筆が遅くなりすぎて書いてる最中公開されました!笑 弊社のプロダクト開発に関する取り組みに興味がある方はこちらの資料をご覧ください。

2. ブランディング

reBakoを作っていて感じていたのは、SaaSを作ることによるブランディング価値の高さです。商品を作るということは、それ自体が会社のマーケティングになるってことです。もちろん、なんでも作れば良いって話ではないと思いますが、作らないことには目にも入らないわけですよね。プロダクトの価値が評価されるのはマーケットに出て初めて行われるものだと。

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うちの会社って、やっぱりエンジニアリングが強いんですよね。逆にそれ以外はからっきしなところはあるんですが。なので、良いプロダクトを作っている・技術力がないと作れないプロダクトに取り組んでいる、という認知を周囲から得られるだけで大きくプラスに働きます。reBakoが難しいプロダクトであり、プロダクトの品質だけで競合と戦っていこうとしている、という取り組み自体に意味があるんですよね。

ところで、さっき悪かったこととしてセールスをあげたんですが、実はセールス手法の中でもうまくいっている取り組みがあり、それがジョイントプロダクトと内部で呼んでいる施策です。ジョイントプロダクトというのは、弊社のプロダクト(今回であればもちろんreBako)と外部のプロダクトの共通項を見つけた上で、お互いがWin-Winになる構造でパッケージングすることを指しています。例えば、現在IKUSAさまと共同で リモBako というサービスを展開しています。これは我々のreBakoを活用してIKUSA社がもともと提供していたリモ謎をアップデートする企画でした。この取り組みの良いところは、我々が持っていないケーパであるアウトサイドよりのセールスチャネルの形成と、未認知顧客に対してreBakoの認知拡大とサービス利用を進められることにあります。この手法の確立は非常に良かったと思っており、今後自社サービスのブランディング(マーケティング)戦略に大きく影響を与えることになると思います。

3. プロダクトファースト

今回(というか2021年度)、強く意識してきたことはプロダクトの価値提案ですね。逆に言えばそれ以外をほぼ考えていなかった、とも言えます。もちろんタイミングで勝負したところはあるので、マーケットありきで投入しましたが、もとよりこのトレンド自体が一過性であることは見越していたため、課題はいかにコロナトレンドが変化した後、本サービスが生き残れるか、でした。

その観点で見ると、まずは良いプロダクトを作る、ということにフォーカスしたのは戦略的に非常に良かったな、と思います。それはデータとしても示されており、これまでリテンション(再利用)してくれている企業様は90%近くに登ります。

なぜプロダクトファーストで考えることがよかったのか?それは弊社の代表の言葉を借りると「底が抜けないようにする」ということにつきます。ちょっと考えてみて欲しいのですが、多数の競合が発生するSaaS型サービス選びにおいて、最も重要な要素・指標はなんでしょうか。価格ですか・・・当然それもあるでしょう、CSですか・・・ええ、とても大事ですね、機能ですか・・・はい、どういう用途に使えるかに関わりますしね。お察しの通り、基準となる指標は利用者のステータスで全く異なるわけです。そんな中で、一度利用したいただいたユーザーが満足せず別のサービスに乗り換えられてしまうことは正しく市場原理が働いている状況と言えるでしょう。では、我々は乗り換えられるのをただ指を加えて見守っているのか、そうではないですよね。一度使っていただけたユーザーに最高の体験(UX)を提供することで、底が抜けない、つまりユーザーが離反するのを防止しているわけです。SaaS型のプロダクトの評価はどれだけ長く使ってくれるか、がAAR(LTV)観点で最重要と言っても過言ではないのです。加えて言えば、いったん離反したユーザーもやっぱりreBakoが良かったよね、と戻ってきてくれればそれは成功なんです。

で、reBakoに関しては本当に繰り返し使ってもらえていますし、ユーザーからはありがたいことに高い評価をいただけています。これは一重にプロダクトファーストを追求したからだと考えています。サービスとして物足りない、と感じさせないだけのプロダクトバリューを作れるように努力してきました。オンラインイベントを実施するプラットフォームとしては現時点でreBako以上の機能のものは存在しないと明言できるぐらいには作り込んできたつもりです。

あとは、どれだけ多くのユーザーに認知してもらえるか、マーケットの状況にプロダクトが追従できるのか、という点ですね。もちろん開発を止めるつもりはありませんが、マーケットの状況が非常に速い速度で推移しているので投下先を徹底的にリサーチしていくことが必要になりそうです。この点で、弊社のマーケティングリソースが枯渇しているのは苦しいところです笑 本記事を読んでお手伝いしたいと感じてくれた奇特な方はぜひ私までお声がけください!

なんだ、結構うまくいってんじゃん

そうですよ!まぁ結局予定していた売上には届かなかったんですけどね・・・。といっても90%は達成しました(いやぁ、特に2021年度上期は精神的にキツかった・・・)

といっても、投資回収にはほど遠いのでこれからが勝負です。

まとめ

前年度はまさしく初めての自社サービス開発・運用でした。途中ローカルラジオに出演させていただいたり、テレビの取材を受けたり、私個人としても過去体験したことのないような機会に恵まれ充実した1年でした。一方でだいぶ反省点・学習点が多かったので来年度はその辺を改善しつつ、新しいプロダクト開発にフィードバックできたら良いな、と思っています。

reBakoはまだまだこれからのプロダクトで浸透まで3〜5年ぐらい先を見据えています。とはいえ、競合他社のサービスの伸び次第ではそれほどシェアを獲得できないかもしれないな、とは思っています。一方で、このようなプロダクトに取り組んでいる会社、という位置づけでのブランディング価値は落ちることはないと考えていますので、簡単に放り投げるといった判断はしません。5年プランでしっかり回収できるように取り組み続けますので、よろしければ応援よろしくお願いします!!!

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