企画や概要設計的な部分までをサポートするツールPoitの開発のきっかけ

Date
September 15, 2023

はじめに

新しいPoitという製品を作っています。

その製品を作り始めるまでの話をまとめてみました。

アイディア

チャット・エディタ・ドロワー・プロジェクト管理など、自分が使っているツールを作りたいと考えていたのは、この会社を2014年に始めるずっと前からのことでした。

シンプルに自分が触っているモノってもっとよくしたいと思うアレですね。非常に素朴。

おそらく仕事を始めてすぐだから、2010年頃にはプロジェクト管理は何回も企画検討していました。

とは言え、これらのカテゴリの製品は大きな投資が必要。

会社の規模的にもリスク的にも、そこに全振りするほどの勇気は湧かず、やりたいけど諦めていたというのが、この会社を作る前の状態でした。

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2014年以降会社を作り、自社製品はやりたいものの、リモートでのシステム開発業務を回せるようにしていくということが大きな課題になっていました。

そこだけでも、まぁまぁ大変で色々と苦労はしていたのが実情です。

とは言え、自社製品の企画は続けていました。

当時の企画については、国内目線・業界特化型のリボン図で考えることが多かったです。

ただ、この会社ってリモートで進めてきているので、国内の特定業界に区切ってリボン図を結ぶモデルと相性が悪いのです。

営業力が圧倒的にないので、リボン図にするにしてもC2C型にするくらいしか成立するイメージが湧かなかったこともあり、マッチングが重要になるビジネスモデルは、システムと言うよりも「いかにサービスの対象を集めるか?」の方が重要で、自分たちの得意な部分とかけあわせると相性が悪くてモヤモヤしていました。

また、そういった国内の特定業界をターゲットとした製品は、自分たち自身が使うこともなく、企画が仮に成立したとしても、果たして自分自身が幸せになれているんだろうか?と思うようにもなりました。

というのも、そういった国内の特定業界の製品企画は、システム開発のお仕事でもお手伝いさせてもらっていて、それはそれでやりがいのある状況でした。

ということで、自分たちで作る企画は自分たち自身がユーザーになる製品を作ることにしました。

  • 元々やりたかったことだし、ドッグフーディングもできる
  • 自分たちが今やっている仕事を深めること自体が知見になって、製品にも活かせる

大きな方針は2017年に、プロダクト開発の文脈にすることは2021年頃には決め、普段の仕事との相乗効果があるものにしたいと思うようになりました。

具体的な企画については、本格的にPoitを考える前身になるのが、2019年頃のGraphyという内部企画で、その企画の際の困りが大きなキッカケになりました。

当時はesaを使わせてもらっていたのですが、画像をエディタに貼り付けつつ、文章を記載した形でwikiに企画をまとめている状態。

文章をまとめることに向いている製品で、企画をイメージするための製品ではなく、自分の用途とのミスマッチを感じていました。

できれば、企画段階では、画像間がリンクし、繋がっていくような感覚のものがあると、よりまとめやすいなと思い、色々な製品を探すことにしました。

一番、自分の感覚に馴染んだのは、Scrapboxでした。文字を [ ] で括るだけで、リンクが形成され、かつ整理を不要にして、どんどん小さいノートが繋がっていく感覚が新鮮で非常に感心しました。

Zettelkasten 方式のノートは他にもいくつかあるのですが、小さい紙に書いていって、それらを組み合わせていくことで、アイディアが太っていく感覚は企画段階だと非常に体験として良かったです。

その後、エディタ界ではNotionができて、そちらに流れていきます。

驚愕だったのが、Notionの難易度の高さが、世の中に受け入れられたということでした。2022年頃の話で、ユーザーがここまで使いこなせることを前提に構築できるんだと思うようになりました。

通常、製品というのは、シンプルにして初心者に向けたもの(Basecampなどが有名)、機能が豊富で玄人に向けたものという切り分けが多かったと思っています。前者が製品のクオリティという意味では理想だが、シンプルで満足できない顧客は次の製品を探して卒業していくというロジックです。初心者を取るのはパイが広くて良いけれど、長く使っては欲しいが両立しない状況でした。

その点、Notionではカスタマイズ性をユーザーに提供することで、シンプルさを維持しつつも、長くユーザーをロックできることに成功していました。

この辺りの製品の流れを見ていると、社会的にここまでの難易度が受けられる時代になったのかと感心しました。

また、エディタにDBを持つのがNotionの強みだなとも感じており、エディタの皮を被ったDBツールとして活用しています。

DBという文脈になると、システム開発の仕事でも、ヘッドレスCMSを作る機会がたくさんありました。2017-2020・2020-2022・2022- と何回か大きめのプロジェクトに参加させてもらっていました。

最初の頃は、DX文脈の走りになっていて、組織内のデータ流通性を高めるために、DBやAPIを整備してデータ資産を誰でも活用していけるようにしていく企画でした。

Notionにおいても、個人や小さいチームの生産性を上げるためにDBが重要な世界観が増えているなと感じるようになっていきます。

組織やパーソナルなDBというのが今後必ず必要になってくるんだろうなと思うようになっていました(AirtableやGoogle Tablesなどもありますしね)。

また、これらで作ってきたノウハウ自体も活かせる可能性があるなと、取り組む後押しにもなりましたね。

ただ、Notionもまた企画・設計などの文脈では、自分の中で完璧ではなかったのです。

やっぱり、ホワイトボードに描き殴っていくスタイルが好きなんですよね。

企画や設計は、文字ベースのテキストよりも、図で記載することが自分は圧倒的に多いので。

元々、アナログな人間だったこともあって、紙やホワイトボードに図・記号・数式を書きながら考えるという習慣がそうさせていたのかもしれません。

そういった意味では、ドローイング系のツールを愛用しています。

ドローイング系は、illustrator→Sketch→figmaと移動してきて、自分のような簡易な図を描くニーズとして、miro・FigJam・lucidchart・whimsicalなどがあるかなとは思っています。

色々使ってはみているものの、結局はドローイング系のツールで図を作り、エディタ系のツールに貼り込むというスタイルは変わっていない感じです。

そこで、以下のようなことを共存できるツールができないかと企画するようになりました。これらを両立できる製品を考えられないか検討することにしました。

  1. ドローイング系ツールをベースに、自由に企画や設計が描けること
  2. ドローイング系で作った図をエディタに貼り付ける作業をなくして、データが分散しないこと
  3. 各データは、Zettelkasten方式のフラットな構造を持ち、データが迷子にならないこと

会社でこの企画をやれるのか?

車個人がそういうことをやりたいと考えていたとしても、この組織でそれをやることができるのだろうか?ということには、しばらく引っかかっていました。

そこで、会社のシステム開発の事業の方も少し、全体として上流に寄せる動きをしつつ、システム開発の企画から一緒に協力しますというのを明示的に謳おうと考えるようになりました。

それまでもやってきたことではあったので、特に嘘もないですし、やってきたことに名前を与えるイメージでした。そこで、会社のシステム開発は「つくらないプロダクト開発」として、何を作るか自体を考える開発を目指すことを明記する形をとりました。

また、それと対応するように、Poitについては企画だけではなく、概要設計的な部分までをサポートするツールにしようと思うようにもなりました。

ちょうど、IPAの資料を参考にドキュメントをまとめることが多かったので、その際にも十分利用できるんじゃないかとも思っていたので。

こうして、「企画のお手伝いから概要設計」を強くやっていきますよという会社として一致させることで、この会社で取り組む理由を作っていきました。

Goの判断

とは言え、本当に開発に踏み切るのか?というのはかなり躊躇がありました。

躊躇していたのは、

  1. 初期投資が重たく、まずキチンと製品を作ってから投入しないといけないこと
  2. ブルーオーシャン戦略とは真逆で、レッドオーシャン的な市場に投入すること

など、結構セオリーと外してきている部分があり、教科書的にはNGなことを踏んでいるなと感じていました。

これを外したときのリスクが許容できる範囲であることや会社の特性を考えると、製品勝負に持っていくしかないこともあり、セオリーから外して作ろうかという気持ちになっていきました。

これは、2021年からやっていたreBakoのPJでは、製品品質だけなら大きく海外の製品と見劣りするとも思えないものが作れることが分かったので、戦うならレッドオーシャンに対してパイを取りに行くような動きが良いのではないか、ということも感じるようになりました。

そして、ようやくスタート

こうして、色々とアイディアも集まってきたこと、会社との整合性も取れること、失敗リスクが許容範囲であることなどから、ようやく開発のスタートを切り始めました。

(続きはまた)