はじめに
こんにちは。しくみ製作所の総務を担当していますfujitaです。 今回はしくみ製作所の福利厚生のひとつである「ポテ枠 無限書籍購入制度」についてご紹介したいと思います。
が、本題に入る前に「福利厚生」と聞いて皆さんはどのようなものを思い浮かべますか。 ひと昔前だと財形や慶弔であったり、住宅等に関する提供が大半を占めていたので、それらを思い浮かべる方も多いかと思います。このような法定外の福利厚生施策については、昨今の働き方改革も影響していると感じており、仕事だけでなく生活との両立の促進や自己啓発を促すもの等への多様化も進んできた印象を受けます。また、皆さんご存じのように、企業によっては採用のインパクトを高める一つの施策としてもユニークなものを発案し、実施しているところも多く見られるようになってきました。
そんな福利厚生ですが、今回はしくみ製作所内でもポテ枠限定である「無限書籍購入制度」について早速みていきましょう。
無限書籍購入制度とは
しくみ製作所では、2020年の秋からポテ枠=実務未経験のエンジニア枠採用を始め、第一号メンバーが入社したのが同年の12月でした。この採用は、中長期的に目指していきたい組織を時間をかけて作っていくために展開され、現在までに10名以上の入社がありました。
無限書籍購入制度とは、そんなポテ枠のメンバーが「勉強に使う目的であれば、会社経費として制限なく書籍を購入できる」というもので、2022年1月から開始されました。自発的な勉強も必要になるであろうし、どんどん自由に本も読んでもらったらいい、ベテランエンジニアからの提案がきっかけとなっています。
実際の声は
この制度が開始された直後にポテ枠を卒業となったメンバーもいるのですが、実際のところの利用率も気になるところです。また、ビジネス書や技術書には多種多様なものがありますが、ポテ枠の皆さんはそれぞれどのようなものを選び、どんな学びを得たのでしょうか。「結構買わせてもらってます!」「恩恵受けてます!」との声も聞かれ、今回は卒業生も含め3人のメンバーの声をお届けしたいと思います。
kinokoさんの場合
- 書籍名「プログラムはなぜ動くのか 第3版 知っておきたいプログラミングの基礎知識」
プログラムはなぜ動くのか 第3版 知っておきたいプログラミングの基礎知識
『プログラムはなぜ動くのか』14年ぶり、待望の改訂第3版! 「 これからの10年も通用する基本 」を、より多くの読者に身につけてもらうために改訂しました。 プログラムがコンピュータの中でどのように動作するのかを、誰にでもわかるように説明します。プログラムは、メモリーにロードされ、CPUによって解釈・実行されます。その仕組みを、多数の図を使って、順序だてて解説します。 第3版では、あらためて全文を見直して、登場する製品や開発ツールなどを新しいものに置き換え、プログラミングが初めてという人でも戸惑わないように、本文や注釈に大幅な加筆を加えています。第2版で好評だったハードウエアに関する説明や、C言語によるサンプル・プログラムも更新しています。巻末の補章のC言語の解説「レッツ・トライ C言語! 」も最新仕様に沿うよう改訂しています。 新たに書き下ろした第12章では、Pythonを使った機械学習を取り上げます。初めて機械学習を体験する読者は、コンピュータとプログラムの活用方法としての人工知能(AI)を身近に感じられることでしょう。さらに、巻末の補章にPythonの解説「レッツ・トライ Python! 」を追加しています。 本書の特徴 ◆プログラムの成り立ち、動作の仕組みを説明...基礎知識をきちんと解説! ◆メモリーについて充実した説明...プログラマの必須知識をしっかり解説! ◆HW、OS、アプリ、クラウドなど動作環境を網羅...実践・実装知識も解説! 何事にも言えることですが、ものごとの本質を知ることは、とても大切なことです。本質を知ってこそ応用が利きます。新しい技術が登場しても、容易に理解できます。本書によって、プログラムを奥底まで探究し、プログラムの本質に触れてください。 「おわりに」より 【目次】 第1章 プログラマにとってCPU とはなにか 第2章 データを2 進数でイメージしよう コラム:ピカピカの小学生にCPU と2 進数を説明する 第3章 コンピュータが小数点数の計算を間違える理由 第4章 四角いメモリーを丸く使う 第5章 メモリーとディスクの親密な関係 第6章 自分でデータを圧縮してみよう コラム:ゲームに夢中な中学生にメモリーとディスクを説明する 第7章 プログラムはどんな環境で動くのか 第8章 ソース・ファイルから実行可能ファイルができるまで 第9章 OS とアプリケーションの関係 コラム:スマホが大好きな女子高生にOS の役割を説明する 第10章 アセンブリ言語からプログラムの本当の姿を知る 第11章 ハードウエアを制御する方法 コラム:近所のおばあちゃんにディスプレイとテレビの違いを説明する 第12章 コンピュータに「学習」をさせるには コラム:行きつけの居酒屋のマスターに機械学習の種類を説明する 補章1 レッツ・トライ C言語!
bookplus.nikkei.com
- 購入のきっかけ
- 当時、自分の興味・関心や学習内容がどうしても実務で使用するようなRailsやTypeScript等に傾きがちな一方で、それらの技術のベースとなる低レイヤーの部分を学習したい、という思いがありました。というのも、これらの技術はあらゆる技術のベースになっており、将来的に他の言語やフレームワークを学ぶ上でも有用であると考えたためです。そのため、まさに自分の知りたい部分を学習できると考え、こちらの書籍を購入しました。
- 活かされたところ
- 正直、現時点で直接的に何かに活かすことができているとは言い難いです。とはいえ、プログラムがメモリーにロードされてCPUによって実行される仕組み等の基礎的な概念を学習できたため、新しい技術を学ぶ際の助けとなるような、いわゆる学習力の底上げとして役に立っていると考えています。まだ書籍内容の全てを理解しきれているわけではないため、これからも折に触れて読み返すことで知識を定着させ、より学習力の底上げとして活かしていきたいです。
- この制度を利用しての感想
- 技術書の購入には多かれ少なかれお金がかかるため、今回のように主だった興味とは別の部分の学習をする際はどうしてもお金のことを考えてしまい、購入をためらってしまうことがありました。ですが無限書籍購入制度を使用することで、実際に購入・学習に繋げることができました。このように個人の学習を後押しする素晴らしい制度だと感じます。
sakitaさんの場合
- 書籍名「マンガでわかる! 仮説思考」
マンガでわかる! 仮説思考
情報量が多いほど、正確な意思決定ができると思うビジネスパーソンは、情報収集・分析に没頭する。 すると、仕事量が増え、結局、時間切れになったり、満足できないもので終わったりして成果を出せない......。 そんななか、著者が進めるのは、十分な情報・分析結果がない段階で、仮の答えを出してしまうこと=仮説思考。 そのうえで、問題を解決したり、プロジェクトを進めると、素早く成果が出せるという。 本書は、そんな「仮説思考」のやり方を、マンガでやさしく紹介します。 著者は、世界的なコンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループで日本代表を務め、 現在、早稲田大学ビジネススクール教授を務める内田和成氏。 『仮説思考』『論点思考』(ともに東洋経済新報社)などのベストセラーを持つ内田氏のビジネス理論、待望のマンガ化です。 (目次より) はじめに 仕事を3倍速くする「仮説思考」とは? プロローグ 結論を出すには多くの情報が必要なのか? ・情報収集・分析に時間をかける日本人 ・情報が多くても正しい判断はできない! 第1章 仮説思考で答えを最速で導く ・選択肢を広げる情報に価値はない ・仮説を立てる際の有効な手段とは? ・仮説思考の具体的なステップ ・上司が網羅思考だと現場が疲弊する 第2章 仮説→検証のサイクルをすばやく回す ・仮説思考は間違えてからが本番 ・仮説を修正し、新たな仮説を立てる 第3章 論点思考で真の問題を探す ・間違った問題を解く ・論点思考の具体的なステップ ・論点を確定したら全体像で確認する エピローグ 上位の論点に気づき問題解決を飛躍させる ・イシューツリーで上位の論点を導く ・仮説思考の鍛え方
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- 購入のきっかけ
- ポテ枠の仕事力でも重要視される仮説思考の基礎的な勉強をしたいと考え購入しました。仮説思考は一般的なビジネススキルでありますが、自分自身は仮説思考が苦手であると自覚していました。しかし、仮説思考の本はどれも活字で説明された小難しい本であり、また、仮説思考自体も最初は理解しづらいものが多いイメージです。そこで、比較的とっつきやすいマンガでわかるシリーズを選びました。
- 活かされたところ
- 購入した本は分かりづらい概念を漫画で分かりやすく説明しており、また、かなり実践的な内容も含まれていたので読んでからすぐに行動することができました。特に、バグの修正ではデバッグをする前から具体レイヤーから抽象レイヤーに視点を引き上げてどこに答えがありそうかを探し当てることに取り組みました。結果、バグ回収のスピードが上がり、仕事力面談でも仮説思考の項目での評価に繋がりました。
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- 書籍名「プロを目指す人のためのTypeScript入門 安全なコードの書き方から高度な型の使い方まで」
プロを目指す人のためのTypeScript入門 安全なコードの書き方から高度な型の使い方まで (Software Design plus)
TypeScriptらしいコードの書き方を学べます TypeScriptは、JavaScriptに静的型付けの機能を加えたオープンソースのプログラミング言語です。本書では、根幹となるJavaScriptの仕様・機能とともに、TypeScript独自の仕様・機能を解説します。TypeScriptの基礎知識はこれ一冊だけで学べます。 静的型付き言語は世にいくつもありますが、TypeScriptの型システムは他に類を見ない高い表現力を持っています。本書の読者が、型の有効性を理解しTypeScriptらしいコードを書けるようになるために、本書では、プログラムの安全性を高める基本的な型の扱い方から、TypeScriptの「高い表現力」の源となっているリテラル型・ユニオン型・keyof 型の扱い方まで幅広く取り上げます。また、わかりにくい機能や型安全を脅かす危険な機能についてもごまかさず、歴史的経緯や目的・用途を踏まえたうえで最善の扱い方を説明します。 ・TypeScriptの初学者 ・JavaScriptの知識はないが、TypeScriptを学び始めたい人 1.1 TypeScriptとは 1.2 TypeScriptとJavaScriptとの関係 1.3 TypeScriptの開発環境 章ごとに力試し問題を用意しており、理解の度合いを確認しながら学習を進められます。 7.1 import宣言とexport宣言 7.2 Node.jsのモジュールシステム 7.3 DefinitelyTypedと@types 9.1 tsconfig.jsonによるコンパイラオプションの設定 9.2 チェックの厳しさに関わるオプション 7.4 力試し (こんな方におすすめ) (目次) 第1章 イントロダクション 第2章 基本的な文法・基本的な型 第3章 オブジェクトの基本とオブジェクトの型 第4章 TypeScriptの関数 第5章 TypeScriptのクラス 第6章 高度な型 第7章 TypeScriptのモジュールシステム 第8章 非同期処理 第9章 TypeScriptのコンパイラオプション
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- 購入のきっかけ
- フロントエンドへの関心が高く、業務時間外でTypeScriptを学習をしたいと思っていました。理由は、近年TypeScriptはJavaScriptの完全上位互換として、これからもしばらくはフロントエンドの開発の筆頭として使われていくという情報を得ていたためです。そんな時、有名なチェリー本(「プロを目指す人のためのRuby入門[改訂2版] 言語仕様からテスト駆動開発・デバッグ技法まで」)をモチーフにしたTypeScriptの本がちょうど出版されたので購入しました。
- 活かされたところ
- 購入した当初は個人的な学習に留まっており、業務でTypeScriptを使用する機会は特にありませんでした。しかし、ちょうど1週間ほど前(2022年7月上旬)から社内業務でTypeScriptを使うことになり、前もって学習していたため、周囲の予想よりはるかに早くキャッチアップをすることができました(TypeScriptはJavaScriptを知っていれば学習の敷居はそこまで高くないですが、やはりいきなり使うのと前もって準備しているのではキャッチアップのコストに大きな差が出ます)。業務で使用し始めたばかりなのでまだ大きな成果はないですが、これから本で学んだことをアウトプットしていきたいと思います。
- この制度を利用しての感想
- 興味があることを自由に学ばせてくれる、ありがたい制度だと思います。本来、自分が購入した本2冊は「実務経験の浅いエンジニア」が必ず読むべき本ではないと感じています。仮説思考は「仕事力」の本であり技術の本ではないこと、ベリー本は実務では使っておらず完全に個人的興味で学習をしました(おそらく読むべき本としては実務であるコーディングで活かせる本(オブジェクト指向、綺麗なコードの書き方)が挙げられると思っています)。しかし、これらの本は無限書籍購入制度の対象として認められました。このように本来なら有料で手に取ろうか迷う個人的な興味関心の範囲のものでも承認してもらい、勉強の後押しをしてもらったことで、より学習意欲が高まった気がします。
kawaguchiさんの場合
- 書籍名「リファクタリング」
リファクタリング(第2版) 既存のコードを安全に改善する | Ohmsha
ソフトウェア開発の名著、第2版登場! リファクタリングは、ソフトウェアの外部的な振る舞いを保ったままで、内部の構造を改善する作業を指します。本書はリファクタリングのガイドブックであり、リファクタリングとは何か、なぜリファクタリングをすべきか、どこを改善すべきか、実際の事例で構成され、ソフトウェア開発者にとって非常に役立つものとなっています。 本第2版では、約20年前のオリジナル原稿の構成は変わらないものの、大幅に書き換えられているほか、サンプルコードがJavaからJava Scriptになるなど、現代的にアレンジされています。 第2版翻訳にあたって 初版の「本書に寄せて」 はじめに Chap.1 リファクタリング-最初の例 Chap.2 リファクタリングの原則 Chap.3 コードの不吉な臭い Chap.4 テストの構築 Chap.5 カタログの紹介 Chap.6 リファクタリングはじめの一歩 Chap.7 カプセル化 Chap.8 特性の移動 Chap.9 データの再編成 Chap.10 条件記述の単純化 Chap.11 APIのリファクタリング Chap.12 継承の取り扱い 文献リスト 訳者あとがき 索引 この商品をシェアする
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- 購入のきっかけ
- ポテ枠で毎週実施している読書会の課題本だったことがきっかけです。内容がやや堅いので最初は気後れしてしまいましたが、読み進めるうちに読みやすいコードとは何か?を具体例と共に学べる良書だと気づきました。今は読書会の課題本から外れてしまいましたが個人的に読み進めています。
- 活かされたところ
- 概念的な面では、リファクタリングの重要性を知ることができました。おかげで実際のプロジェクトでも自分の書いたコードを客観的に見直しす癖が少しはついたかなと思います。また具体的な面では、関数の抽出やカプセル化など変更に強いコードをどう書いていくかを学べました。これは自身でコードを書くときにも参考になりますが、他の人が書いたコードを読むときに特に役立っています。
- この制度を利用しての感想
- ポテ枠は日々学ぶことが沢山あり、気になった本を買っていると書籍代だけでも結構な額です。学習のために自己投資は必要ですが、懐事情はやはり気になります。「この本が気になるな、でも今月は色々本買ったからやめておこう・・・」なんて時にも諦めることなく学びへ投資ができるのは無限書籍購入制度のおかげだと思います。またこのような学びの機会に投資をしてくれる会社だと思うとポテ枠としても身が引き締まる思いです。本を選ぶ際も自分はこの本から何を学び取ってやろうかと良いモチベーションになっています。
さいごに
いかがでしたか。しくみ製作所の福利厚生は、単なる採用の目玉になるものやイメージアップを!等と考えられたものではありません。もちろんメンバーとの信頼関係を向上させ、共に気持ちよく働けることを手助けするものの一部ではありますが、メンバーが求めるものと会社が求めるもの双方を明瞭化した上で、現在における最適なものが設計できるよう心がけています。
今回ご紹介した「無限書籍購入制度」も金額の上限を設けないことで、興味関心のあるものを気軽に手に取れるようになってほしい、購入するハードルが下がり少しでも多くの知識を得てもらいながら、実際の業務においても問題解決に活かしてもらえれば、とそのような思いも込められています。そして、その背景にある会社からの支援の姿勢も感じてもらえていたなら、こんなに嬉しいことはないなと感じます。
今後も最適なものを最適なタイミングで、しくみ製作所らしいものを提供していけたらと思います。そして、使ってもらえる環境もしっかり整えていきたいです。 その他の制度については、またの機会に。






















