はじめに
はじめましての方ははじめまして、そうでない方はこんにちは。しくみ製作所でWeb開発をやっているokayuです。普段は弊社のサービス reBako.io の開発に携わっています。
さて今回は、半分は仕事、半分は趣味の話として、自作キーボードの話をしていきたいと思います。私はプログラマでキーボード好きで技術オタクなので、やや話が長くなるかもしれませんが、そういう生き物なので許してほしいです。
実際に仕事で使っているキーボードです
私が実際に仕事でもプライベートでも使っているキーボードを紹介します。
「割れてる!」そう私のキーボードは割れています。キーの並びもなにか変です。記号キーも無いですし。
このキーボードは、私が「自分が使いやすいと思う理想のキーボード」として、自分で作ったキーボードです。
お使いのキーボードはなんですか?
ところで、仕事や趣味でPCを使っている方はたくさんいらっしゃると思います。皆さんキーボードは何をお使いになっていますか? デスクトップPCについてきたキーボードでしょうか? ノートPC本体のキーボードでしょうか?
ほとんどの方はキーボードに対して特に思い入れなどなく、付属品などをそのまま使っているのではないでしょうか。私もかつてはそうでした。大学の入学祝いに祖父に買ってもらったノートPCは、キーボードの文字が消えてテカテカになるまで使ったものです。
どうしてわざわざ自作なんかするの?
しかしよく考えてみると、PCを使ってクリエイティブな作業をしているとき、多くの時間はマウスやキーボードを操作していることに気づきます。そして我々プログラマは、作業を効率化すればするほどほとんどの作業をキーボードで行おうとします。だってそのほうが早いもの。プログラマに限らずとも、たとえばテレワークのテキストチャット、会議のための資料作り、取引先とのメールでのやりとりなど、キーボードを操作する時間は近年増加していると思います。
じゃあどうしてキーボードにこだわらないんです? こだわったほうがいいと思いませんか? 私は思います! 使いにくいキーボードでストレスをためるより、使いやすくてかっこいいキーボードで気持ちよく作業したほうが作業効率もアップしますよ、きっと!
こだわりキーボードの選択肢
人類皆すべからくキーボードにこだわるべきだという結論(?)が出たところで、まず考えつくのは高級キーボードを購入することです。REALFORCE や Happy Hacking Keyboard(HHKB) といった高額なキーボードは「さすが」と唸らずにはいられない使い心地なので、是非体験してほしいです。普通っぽいキーボードがほしい方は REALFORCE、さらに一段上の使い勝手を求めるなら HHKB を選ぶのがおすすめです。
これら以外に市販品を買うなら、ゲーミングキーボードもおすすめです。近年、PCをゲーム用途として使う人が増加し、それに伴って高機能なゲーミングキーボードが数多く発売されています。ゲーミングとうたってはいますが、通常用途としても使いやすい製品がたくさんあります。虹色に光るとか複数キー同時押し対応とかそういう機能よりも、キーの押し心地(重さ、音、打鍵感など)を重視して選ぶといいでしょう。
そして最後に、自作キーボードという選択肢があります。自分が使いたいものを、自分自身で作る! 最高ですね。キーボードの見た目、スイッチの種類、キーキャップのデザインなど、何もかもを好きにカスタマイズできるのが自作キーボードのメリットです。自分が好みの、自分にピッタリあったキーボードを作ることができるんです!
初心者はキットからはじめよう
さて、自作キーボードはたしかに素晴らしいものですが、ゼロからキーボードを作るのは誰にでもできることではありません。電子回路や論理回路の知識、プログラミングの知識、工作の技術などが必要になってきます。
でも安心してください! 世の中には自作キーボードキットというものが売られています。最初はこれらのキットから初めるのがおすすめです。基盤やマイコンなどの部品がセットになっているので、基本的にはハンダ付けができれば自作キーボードを作ることができます。
たとえば次の写真は、Mint60という名前で売られているキットを組み立てたものです。オーソドックスな配列&機能なのでとてもおすすめの自作キーボードです。
秋葉原には自作キーボードの専門店などもあるので、実際にキットや部品を見ながら買うこともできます。気になる機能や見た目の自作キーボードキットを買って組み立てるだけでも、とっても楽しいですよ!
マイ自作キーボードのこだわりポイント
さて、ここからは私が使っている自作キーボードのこだわりポイントを自慢して紹介していきたいと思います。私のこだわりポイントではありますが、ぜひ自作キーボードを探すとき&設計するときの参考にしていただければと思います!
こだわりポイント1:左右分割式
まず目を引くポイントだと思いますが、キーボードが左右に割れています。割れているのにはちゃんと理由があって、左右を離れた場所に置くことによって、肩を開いた状態でキーボードを操作できるんですよね。これ、肩こりに劇的に効きます。普通のキーボードを使うとき、いかに無理な姿勢をとっていたのかわかります。もう割れていないキーボードには戻れません。
こだわりポイント2:格子配列&少ないキー数
普通のキーボードのキーは、上下のキーが少しズレた配置になっていますよね。あれ、どうしてズレてるのかよくわかりませんよね。別にズレてなくてもよくない? ということで、ズレをなくして並べちゃったのが、この格子配列です。最初こそうまく打鍵できませんが、慣れると「格子配列が正解じゃん」と思っちゃいますね。
そしてキー数はごっそり減らして56キー。通常のフルサイズ日本語キーボードが109キーなので、約半分です。キー数を減らすことで非常にコンパクトになり、机の上が広々と使えますし、持ち運びにも便利です。また、キーボードとマウスを近くに置くことができるようになるので、右手の移動距離が短くなって地味に楽になります。
削ってしまった分のキーはどう入力するのかというと、2つ以上のキーの同時押しで入力できるように設定しています。たとえばこのキーボードには数字キーがありませんが、右手側の「/」と刻印されたキー(Mの下のキー)を押しながら左手側の「Q」を押すと「1」が入力されるようになっています。普通のキーボードでも、大文字を入力するときはShiftを押しながらアルファベットのキーを押しますよね? それと同じようなイメージです。このようにして、ちゃんとすべての文字・数字・記号が入力できるようになっています。
こだわりポイント3:3Dプリンターで作った自作筐体
筐体(キーボードの箱)ですが、これも3Dプリンターで自作しました。自作キーボード界隈ではアクリル板などを使って作ることが多いのですが、私はせっかく3Dプリンターを持っているので、オリジナルの筐体を設計してプリントしました。シンプルな見た目ですが、丈夫ですし、なかなか気に入っています。もう少し3D CADを使いこなせるようになったら、少し凝った筐体を設計し直すのもいいですね。
やっぱり環境にはこだわりたいですよね
さて、長々と自作キーボードについて語りましたが、結局のところなぜ自作するのかといえば、それは作業環境をよりよくして効率アップさせたいから、そして、作ること自体が楽しいからです。私のようなプログラマにとって、キーボードは一日の中で最も使用する時間の長い道具の一つです。道具にこだわるのは、技術者や職人にとっては大事な自己投資の一つですよね。できれば安物ではなく、ある程度品質が良いのものを使いたいものです。そして、自分の使う道具を自分で作ることができれば、愛着もひとしおですし、こんなに楽しいことはありません。
「いや、私はプログラマでもエンジニアでもないしなぁ。そこまでこだわらなくても……」という方。もしあなたが仕事でPCを使っていて、ありあわせのキーボードを使っているのなら……いきなり自作しろとは言いません。今のよりもちょっとだけ良いキーボードを買ってみて「あ、使いやすいな」と少しでも感じたなら。キーボードという道具について、ちょっとだけ気を使ってみてはいかがですか?
いいキーボードを使って仕事をすると、楽しいですよ!