はじめに
最近、社内公開ふりかえり会をはじめましたので、実施した経緯や結果について書いてみたいと思います。
きっかけについて
受託開発の仕事が多い弊社では、それぞれのプロジェクトごとに4人前後のグループで仕事をすることが多いです。グループごとに、毎週や隔週のスパンでふりかえり会をしており、グループ内ではある程度知見が溜まるしくみができているものの、グループ間で知見を共有するしくみはなく、会社全体として知見が溜まっているとはなかなかいえない状況です。
弊社はいわゆるエンジニアが多い会社ですので、技術的なことの共有は薄くですが取り組んでいました。ただ、技術的なものだけではなく、プロジェクト運用の知見をもうちょっと溜めるべきでは、という意見がでていました。
解きたい課題
上記のきっかけで以下の課題を設定しました。
課題: プロジェクト運用の知見を会社全体で溜められるしくみがほしい
- 一度した失敗を別のグループでも失敗しないようにしたい
- スムーズなプロジェクト運用の方法があれば他のグループでも取り入れたい
どうやって課題を解決するか
この課題に対して、パっと思いつく解決方針は以下くらいかなと思います。
- プロジェクト運用の知見をマニュアル化する
- プロジェクト運用の勉強会をひらく
- 外部からプロジェクト運用の講師を招く
- プロジェクト運用について話しあう機会を定期的に設ける
この中で、今回は4を選びました。理由としては、以下の2点です。
- とりかかるのが簡単で、とりあえずやってみるフェーズにはよさそう
- マニュアルやルールを押しつける形にはしたくない
具体的には何をするか
具体的には、以下のようなフォーマットで社内公開のふりかえり会を行うことにしました。
プロジェクトのフェーズとエピソード
- ここでは、プロジェクトの期間をフェーズに分け、それぞれ心に残っているエピソードをあげていきます
- 例) 2019年XX月-XX月
- 開発着手直後。開発しないといけない分量に対して、締切が厳しかった
- 手が足りないので、開発要員の募集を行った
- 追加されたメンバーがプロジェクトの目的を把握できておらず、不安が大きかった
- 改めて全員でインセプションデッキを作り、向いている方向をそろえるようにした
プロダクト観点
- エピソードベースでふりかえった内容について、以下2点のプロダクト観点でまとめていきます。
- 「それはなぜ?」という質問で深掘りするようにしました。
ユーザーにとっていいものができたか?それはなぜ?
- 例) ユーザーから、以前の業務フローと比べて、業務が格段にラクになったというフィードバックがあった
- 特に画面が直感的につかいやすいというフィードバックがあった
- UI設計前に入念にユーザーのヒアリングを行ったのがよかった
作り手にとっていいものができたか?それはなぜ?
- 例) よかった
- 技術的なチャレンジがいろいろできた
プロジェクト観点
- エピソードベースでふりかえった内容について、以下2点のプロジェクト観点でまとめていきます。
- 上記と同様、「それはなぜ?」という質問で深掘りするようにしました。
対外的ヘルスは継続的によかったか?それはなぜ?
- いわゆる炎上プロジェクトにならなかったかなど、顧客とのリレーションに関する観点です。
- 例) 2019年○月くらいから顧客との意思疎通が難しくなった
- 弊社担当のX氏が途中で担当をはずれてしまった
内部的ヘルスは継続的によかったか?それはなぜ?
- バーンアウトした人がでなかったかなど、社内的な健全性の観点です
- 例) Aさんが一人で仕事を抱えてしまい、深夜まで働いていた
- 他のメンバーで巻きとれるところは巻きとっていく必要があった
他のプロジェクトでも活かせそうなポイント
- 最後に、他のプロジェクトでも活かせそうなポイントをまとめます
実際にふりかえり会をした感想
先日、私も関わっている社内のとあるプロジェクトでこの社内公開ふりかえり会をやってみました。 このプロジェクトでは毎週プロジェクト内のふりかえり会を行っており、その議事録が残っていたので、プロジェクト内ふりかえりの議事録を見ながらエピソードの書き出し(というより、こういうことあったねという思い出し)を行い、まとめていきました。
以下、個人的な感想を書きます。
- よかったところ
- 「これはどうしたらよかったんだろう」という問いに対し、他のグループの人から「他のプロジェクトではこうしていた」という意見があり、知見の共有ができました。
- プロジェクトメンバーの中でもあらためて問題点を思い出すことができ、次に活かすためのポイントを洗い出すことができました。
- 弊社はフルリモートの会社なので、ふりかえり会はGoogle Meetで行いつつ、ライブストリーミングや録画*1も行い、会話には参加できない人、予定が合わない人もできるだけアクセスできるようにしました。
- イマイチだったところ
- 5ヶ月分くらいを一気にふりかえったので、枠を1時間とっていたものの、かなり駆け足ですすめないといけなかったのが大変でした。
当初の目的である、「プロジェクト運用の知見を会社全体で溜めたい」というところはある程度達成できたかな、というところで、総じてよかったかなと思います。
今後について
とりあえず1プロジェクトについてやってみただけなので、他のプロジェクトでもやってみようと思っています。また、やり方についてもフィードバックをうけながら改善していければと思います。
また技術視点でのふりかえりも別途行っており、技術選定についても次のプロジェクトに活かせるようなしくみを作っていきたいと思っています。