はじめに
実務未経験のエンジニアを育てる「ポテンシャル枠 指導編」にてポテンシャル枠採用の取り組みを紹介してから1年が経とうとしていますので、現状や前回からのアップデートなどを書きます。
現状
ポテンシャル枠として弊社に入社された方のうち、2名はめでたく卒業しました。その後もポテンシャル枠採用が増え、2022/02末現在で4名となっています。
無事に卒業する方が出てきはじめたこと、うれしく思います。後ほど触れますが、評価制度も整ってきて、卒業までの道のりが明確化されたことで、現在のポテンシャル枠の方は今まで以上に早い卒業も出てくるのではと思います。
前回からの取り組みのアップデート
日々取り組みの内容や制度は更新を続けており、前回の記事からも結構変わっています。ここではその差分について軽く触れようと思います。
朝会、夕会は入社当初のみ
朝会、夕会は新しく入社された方がいる場合にのみ、入社後最大3ヶ月ほどやっています。これは入社後しばらくすると毎日2回話すこともあまりなくなってきて、会の価値が下がってくるためです。また何か相談したいことがあったとしても、3ヶ月もすると、会の外での相談もしやすくなっています。
グループコーチングを開始、お茶会は雑談会に
グループコーチングを開始しました。これは、「なりたい状態と必要になりそうなスキル」「学びの計画」「計画に対する実績」「特筆したい学び」「次の学びの計画」という軸でまとめた項目をポテンシャル枠同士で発表しあい、コーチングしあう、という会をやっています。これにより、モチベーション維持や自分にはない他人の視点からの気づきなどのメリットがあるようです。(伝聞調なのは私自身は聞いているだけで実際に参加していないためです。)
お茶会という取り組みを前回紹介しましたが、グループコーチングと内容がある程度重複してしまっているので、ゆるい雑談会として少し形を変えてやっています。
ちなみにグループコーチングは随時見学可能となっています。興味ある方はお声掛けください。
ペアプロ、自学支援は引き続き
前回挙げたペアプロや自学支援という項目については引き続き行っています。
評価制度を制定
ポテンシャル枠を卒業した先を弊社では一次職という名前で定義しています。この一次職の前段階として、ポテンシャル枠の中でも3段階(タマゴ -> ヒヨコ -> コッコ)設けています。ポテンシャル枠はこの段階に応じて給与も変わってきます。次の段階へ上がる基準を明確にするため、評価制度を設けました。
アップデートとしては以上です。以下、評価制度について詳しく解説します。
評価制度について
ポテンシャル枠の評価制度について、現行の制度を詳しく解説しておきます。(今後も変わっていく可能性が高いです。)
まず、ポテンシャル枠を卒業するにあたって、必要な力として仕事力、技術力、学習力の3軸を見ます。それぞれ、以下の要素に分解して考えています。
仕事力
- ASISを正しく理解する力
- TOBEを定義・理解する力
- TOBEを実現するIT関連技術以外の力
技術力
- 作りたいものを作る力
- 作りたいものをどう作るか検討する力
- 作るべきでないものを作らない力
- 作るべきでないものを見抜く力
学習力
- 知っていることを学習する力
- 知らないことを学習する力
- アンラーニング
- 学習についての学習をする力
1次職レベルで要求されるものをさらに細かく定義していますが、細かいところですし、変わりやすいと思うので、ここでは列挙しません。これらの力について、月1、2回ほど面談をして、月ごとに評価を決定しています。
以下、技術力と学習力についての実際の評価のしくみを説明します。実は執筆時点で仕事力の評価制度については再度練り直しており、ここでは細かく触れることはしません。
技術力評価
技術力評価については、以下のキーワードリストを設定しています。
※リンク先には一部公開していないリンクが含まれています。
これらのキーワードについて、調べてもらい、私と雑談できるレベルを目指します。
細かい原理をテスト的に問うようなことはあまり考えておらず、必要なときに調べて深掘りできるレベルを目指しています。また、あわせて、キーワードにまつわる私の経験(失敗したこと、ありがちなパターンの共有など)を話しています。経験などのストーリーをキーワードに関連づけることで記憶に定着しやすくなる(といいな..)というねらいがあります。他にも、キーワードについて調べたことを説明してもらうにあたり、調べ方、考え方、整理の仕方など普段エンジニアとして仕事をする上で必要になってくるスキルについても思ったことがあればフィードバックしています。
雑談を通じて、私が「キーワードについて一定の理解ができた」と判断した段階でチェックをつけます。チェック済の項目が0個〜タマゴ、8個〜ヒヨコ、16個〜コッコ、全チェック済で一次職としています。
学習力評価
学習力についても、以下のチェックリストを設定しています。
これもそれぞれの項目について、普段の日報の内容などを見てフィードバックや雑談をしています。私が「項目への理解と実践がある程度できている」と判断した段階でチェックをつけます。こちらはチェック済の項目が0個〜タマゴ、2個〜ヒヨコ、4個〜コッコ、全チェック済で一次職としています。
「評価」というと人を点数づけするようで個人的にはあまりいいイメージがないのもあって、評価としてはチェックリストの数で自動的に決まるようにしており、話す内容としてはフィードバックや目標設定などコーチングに近いものになるようにしています。
今後について
既に触れましたが、現在仕事力評価については再度検討中です。これもポテンシャル枠の方からのフィードバックがきっかけで始まったことであり、今後も制度自体に不満があれば声をあげてもらえればどんどん改訂していくつもりです。
前回は「指導」しているつもりはない、と書き、今回「評価」もあまりいいイメージはないと書きました。自分は上下関係がある言葉があまり好きではないのかなと思います。制度自体もポテンシャル枠の方自身が変えていけるような、意味のない上下関係がない状態をキープしたいです。
また、評価について、現状は私の主観的な判断に委ねられる部分が大きく、スケールしない設計になっています。制度の形骸化を防ぐために、ある程度意図してそうしている部分もあるのですが、ポテンシャル枠採用が今後増えると私のキャパシティを超えてしまう可能性もありますので、今後は評価する側の人間も増やしていきたいなと思っています。
前述の通り、グループコーチングについては見学会もやっていますし、興味ある方は是非お声掛けください。