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「テレワークとは、ITを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです」と、一般的には定義されています。
5年間テレワーク(リモートワーク)を続けてきた上で、テレワークとはなにかを改めて考えてみました。
場所に捕われないとは
- 場所に捕らわれないということがどういう意味があるのかに気がついたのは、社内が20人に程度になってきた頃でした。
- 完全テレワークの会社に入社した人は最初は東京に住んでいるのですが、入社後しばらくするとそれぞれが思い思いの地域に引っ越すことが多くなりました。
- それぞれの地域での様子を観察するに、東京などの都市圏からの距離が離れれば離れるほど、ライフワークバランスのライフ側が強くなる傾向が見られていきました。
- 言われてみれば当然なのですが、場所に捕らわれないということは、ライフスタイルを自由に設計できるということになります。
- 考えてみると、テレワークをしていない会社で働いた頃は、仕事のために住む場所を検討していました。
- 一方で、完全テレワークになると、それぞれがどんな生活をしたいか?という基準で住む場所を決めていくことができるようになりました。
- 場所に捕らわれないということは、単純に住む場所が自由だよということ以上に、それぞれの人のライフスタイルに自由度を与え、理想のライフスタイルに近づける可能性を提供することができるんだと思うようになりました。
時間に捕らわれないとは
実は、時間には捕らわれた設計にしていた
- 実は、社内では場所には捕らわれないものの、時間にはだいぶ捕らわれた設計をしていました。
- つまり、場所は自由だけど時間は制約があるという設計をしていました。
- これは、会社を作った当初から強く設計していたことで、今の会社運営でも色濃く残っています。
- 時間についての制約は、コミュニケーションの同期性という観点で重要視していました。
- テレワークを考えたときに、一番心配なことの一つはコミュニケーションじゃないでしょうか?
- コミュニケーションが取れにくくなる一つに、単純に声をかけにくくなるという話があります。
- これらはシンプルに、時間を決めてしまえばシンプルに解決する話だと考えています。
- その時間については、働いていることが前提になるので、いつでも声をかけて良いですよーという話になります。
- 会社の規模に合わせて、 appear.in ・ google meet ・ Discord などのツールで常時接続するような試みもやっていました。
- また、創業から4年くらいは朝会をずっと実施しており、全体で始業時間は揃っているという状況で実施していました。
今は時間もある程度柔軟に
- 会社の組織化が進み、責任ベースでの勤怠という概念が社内で生まれていくことになりました。
- その結果として、時間や休みなども基本的には本人が自由に設計して良いという話に今ではなっています。
- ただ、各プロジェクトの会議などは日に1-2件はあることが多いので、その時間は時間を合わせて参加してもらっている状況です。
- また、会社としても朝会をやっていた名残が色濃く、ある程度朝に関係する人達で集まって、朝会を実施する同期的な活動は今でもかなり活発に行なっています。
- 個人的には、いきなり場所も時間も自由にしてしまうと、変化があまりにも激しいので、まずは場所だけを自由にし、その後に時間も自由にするような段階的な設計が良いんじゃないかと思っています。
柔軟な働き方とは
- 組織には、経路依存性というものがあるらしく、要はこれまで組織が辿ってきた歴史によって今の状況があるような考え方です。
- これまで、テレワークをあまりやってこなかった組織や、慣れている組織などを一括に話せないのは、組織のこれまでの文化や風土、業態、働く人のITリテラシなどあまりに変数が多いことが原因だと思います。
- ただ、1つ言えるのは柔軟な働き方になる可能性だけはあるものの、組織として取り組む場合は、その変化のさせ方を定義していかないと、柔軟というよりもグチャグチャな状態になりかねません。
- 自分たちの会社では、メンバーのレベルが高く自律性も高い状態で、良い面では様々なアドバイスをもらえる反面、裏を返すとイマイチな施策をそのまま受け入れてくれる組織ではありませんでした。
- このため、働き方のルールを変える場合は、どのようにルールを変えるかのルールを作るところからはじめました。
- このルールを変えるルールを作れたことが組織としてだいぶ強くなれた気持ちでいます。
- 確かに、ITによって柔軟に働ける可能性を手にしているのは事実なのですが、結局は人と人で組織は成り立っているので、どのように柔軟にしていくのか、それはどうしてなのか、どうすればもっとよくなるのかを、認知してもらい、少しずつ柔軟性を上げていく地道な活動が必要になっていくとは思います。
改めて、テレワークとは
- IT技術によって、場所や時間に捕らわれない、柔軟な働き方です。
- 個人レベルで見れば、好きな場所や好きな時間で働けるので嬉しいとは思います。
- 組織観点でのよくある話しとして、採用力や社員のエンゲージメントを上げるということが言われているのですが、結局は個人レベルの総和の話しに過ぎません。
- 組織レベルで見れば、柔軟に業務そのものを変えることができるかで、今までよりも業務効率を上げたり、外部環境の変化に柔軟に対応していけるかでテレワークを考えていくべきだと考えています。
- まとめますと、
- IT技術によって、
- 働く人には、場所や時間に捕らわれない、柔軟な働き方(ひいてはライフスタイルの選択肢)を提供し、
- 組織としては、ITによる業務効率や変化への対応力を上げるための働き方
- と考えていきたいと思います。